神社崇敬会の秀島です。
このブログで毎回のように出てくる「崇敬会」という言葉ですが、崇敬会とは何なのか、具体的な説明をしてないことを思い出しまして(申し訳ない)、分かりやすい例をあげてちょっと説明していこうと思います。崇敬会についてこれまで書いてきた内容は下のリンクからどうぞ。ではスタート。
クラウドファンディングってなに?
崇敬会、聞きなれない言葉ですよね、神社関係者の方でも実際に運営の現場を見たことがある方は少ないかもしれません。崇敬会は、従来の地縁をもとにした氏神・氏子制度の枠を飛び越えて、神社の崇敬者(ファン)を集めて、広く崇敬神社として信仰を盛んにしていこうという目的で組織される団体ですが、じつはコレ、今流行りのクラウドファンディングと同じ考え方なんです。クラウドファンディングはここ数年で世界中に広まった仕組みですが、もっと昔から日本では神社を支えるための仕組みとして存在していたんですね。読者の方にもクラウドファンディングについてご存じない方のために、ちょっと説明します。
クラウドファンディングの仕組み
クラウドファンディング、もう説明も要らないくらい定着している言葉かもしれません。不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語(wikiより)という意味なんです。上図のようにプロジェクト実行者がクラウドファンディングサイトにプロジェクトを投稿し、そのプロジェクトに対してサポーター(支援者)が少額の資金援助を行い、期間内に目標額に達した場合、プロジェクト実行者はサポーターに対して支援額に応じたリターンを発送するという仕組みです。
これは多額の資金を必要とするプロジェクトに対して多くの人から少額を集めてプロジェクトを成功させるという新しい資金調達の仕組みで、金融機関からの借り入れや株券や債権の発行といった従来の資金調達とはまったく異なる手法です。資金調達の民主化なんて言葉も出てきています。
本家アメリカではデジタルガジェットなどのプロダクトの開発・製造とか「モノ」に関する資金集めに使われることが多く、日本では社会事業ややりがいの発見、地域の振興や個人の夢をかなえるとか「コト」の実現のために使われることが多いですね。このあたりは国民性が表れていると思います。
さて、このクラウドファンディングと神社の崇敬会、どのような共通点があるのでしょうか。


崇敬会はクラウドファンディングと同じ仕組み
前項でクラウドファンディングは、多額の資金を必要とするプロジェクトに対して多くの人から少額を集めてプロジェクトを成功させるという新しい資金調達の仕組みだと書きました。崇敬会は、神社の維持管理に必要な資金を会員から少しずつ集めてみんなで神社を支えようという趣旨で活動しています。
崇敬会はクラウドファンディングをまったく同じ考え方なんです。神社の運営は実は見えない費用というものがたくさんあります。歴史のある神社だと、社殿の修復、境内設備の定期的なメンテナンスなど、ときには数万円、ときには数千万円、何もしなくても護持運営のために必要とするお金が発生するのです。
そんな神社の費用は誰が負担しているのか、それは地域の氏子たちの寄付によって賄われていました。代表理事挨拶にも書きましたが、幼馴染の神社は放火によって社殿を消失し、再建に必要な数千万円の費用を氏子からの寄付と宮司の持ち出し資金で賄いました、一人で数百万円の寄付をした氏子もいたそうです。いまは少子高齢化時代、そして日本の人口の減少も顕著になってきた現在、氏子からの寄付で神社の護持運営は果たせるでしょうか。そこでクラウドファンディングの考えが必要とされてくるのです。
崇敬会の仕組み
崇敬会は会員(崇敬者)から集めた会費によって運営されています。運営の内容は会費の徴収と特典の発送と会計と神社への奉納です。これは氏子地域外の人にも会員の勧誘が可能で、広く神社の護持運営に必要な資金を集めることができます。会費は数千円から数万円まで、特別会員だと10万円という会費の設定もあります。会員は毎年新年の神札を送ってもらったり、神社の特別なお祭りに参加できる権利を与えてもらう特典を得られます。クラウドファンディングでいうリターンですね。前出のエピソードに出てきた「一人で数百万円を寄付した」氏子の例を考えると、支援者一人あたりの負担もとても軽くなります。
崇敬会だと御札や御守を郵送できる
これはまた別の章で詳しく書こうと思いますが、神社サイドの視点で崇敬会のメリットを考えると、崇敬会だと崇敬者(会員)に対して神札や御守などを郵送で頒布することが可能になるメリットがあります。じつは神社ではネットの利用が原則禁止されています。時代の流れにそって次第にWebサイトの作成なども進んでいますが、それでも原則としてネット上で神札や御守の遠隔地への授与は認められていません。伊勢神宮(神宮)のWebサイトができたのもつい最近のことです。しかし、崇敬会なら崇敬神社の神札や御守を遠隔地へ郵送などで授与することが可能になるのです。これは神社にとっても崇敬者にとっても素晴らしい仕組みです。
崇敬会は日本古来の“やさしい”クラウドファンディング
崇敬会は日本古来からある神社を守るための素晴らしい仕組みです。21世紀に流行となったクラウドファンディングの仕組みを、昔の日本人はすでに活用していたわけです。そして、私が崇敬会に対して一番強く感じている可能性があります。それは崇敬会がクラウドファンディングとして、とても“やさしい”ということです。何がどうやさしいのか、それは通常のクラウドファンディングに比べて、資金を募る神社の負担がとても小さく、通常のクラウドファンディングのように資金を集めるために労力を必要としなくていいという点です。
私も自身の経営する事業会社で資金を募るクラウドファンディングを行いましたが、見ず知らずのひとから資金を募るというのはとても大変で、その労力たるやほんとうに骨を折ったという記憶があります。崇敬会をネット上で運営するという仕組みは、神社の負担を軽くし、そして崇敬者一人あたりの資金援助の負担も軽くするという一石二鳥の素晴らしい仕組みなのだと私は感じています。人と神社が「崇敬」という言葉のもとにつながり、みんなで神社を支えていこうというやさしい世界を当会の神社ファンディングサイト「すうけい」で実現していきたいと思っています。


崇敬会とクラウドファンディングの関係についてちょっと分かっていただけましたか?
私たち神社崇敬会の運営する「すうけい」では、神社の崇敬会の設立・運営、会員の募集までトータルでサポートさせていただきます。将来の少子高齢化に備えて氏子減少に対応するために、ネット上での崇敬会の設立をご検討ください。
この記事で書いた崇敬会についての内容は、下記リンクにも詳しく書かれていますので、お時間ございましたらぜひ読んでみてください。